Fender Custom Shop

  Allrose Telecaster '90

 

世界で200本、国内には20本と言われる微妙にレア物。但しギターとしての評価は低いらしい。

 

手に入れたのは四半世紀も前で、俺との同居期間は誰よりも長い。

 

値段はやたら高かったけど、試奏しようと握っただけでビビッときてしまったから金もないのに即決した。若いうちに手に入れておいて良かった。

 

一目惚れではあったものの、手に入れた頃はとにかく愛想のないギターだった。身体は許しても心は…みたいな感じで、最初の5年は弾きこなせてなかったと思う。

お互い若かった(笑)

 

と言うのもAllRoseの文字通り本当に全部が紫檀だからとにかく重くて堅い。だから鳴らない。

評価が低いのもそのせいらしい。

 

何となく鳴るようになったような気がしたのは10年以上経ってから。未だに愛想は悪いままだが、俺の言うことは聞くようになった。今はソコソコ鳴る。

 

鳴るようになれば堅さが大きな魅力になる。堅い分強弱のレンジがとにかく広い。アドレナリン全開で激烈に弾いてもちゃんと応えてくれる。

 

 

〜手を加えたこと〜

・ヘッドに3〜4弦のストリングガイドを増設してテンション強化。

・ミュートがし難かったからブリッジプレートをブリッジごとフラットな物に交換。

・フレットを高くする代わりに指板の塗装を剥がした。

・ＰＵは一時期ハムにしてたけどオリジナルに戻して、ハウり対策にキツめに固定。ピッキングニュアンスに遊びがなくなった。

・シールドを強化して、配線を全交換。出音がクリアになり、輪郭のはっきりした音になった。

・ボリュームのポットをSW付きの物に交換。当初はリアとフロントのＰＵを繋げてハムにするようにしてたけど、今はフロントの位相を変えるSWにして、フロントとリアのハーフトーンを出せるようにしてある。

・トーンのポットもSW付きにした。これはギミック用。

・ピックガードを黒から鼈甲柄に交換。プリンスの例のテレキャスを見て思い付いただけだけど、俺だけ感が増して満足。裏に銅箔を貼ってシールドを強化してある。

 

そんなこんなで徹底的にダイレクトでごまかしのきかないギターになってる。

堅いのに敏感だから嘘はすぐバレるし、ちゃんと扱わないと応えてくれない。弾き手を選ぶギターであることは間違いない。

 

極論だけど、追い求めるのは脳みそに湧いた音のダイレクト出力なわけで、いくら擬人化したくなってもギターはそのための道具でしかない。だから遊びとか無駄はないほうがいい。

 

替えが効かないのが最大の欠点か。

数年前、金に糸目を付けない仮定でメインギターを変えるとしたら何が良いかと思い、御茶の水の楽器屋を全部回ってみたことがあった。

結局テレキャスからは離れられず、もちろんAllroseより良いのはいくらでもあったけど、俺色に染める(笑)作業を一からやらないといけないのが面倒で、メインを変えることは考えないという結論になった。